次の場合は消費者利益を擁護する消費者契約法により契約又は条項の全部や一部を無効にできます。この法律は全12条で事例集がありますので、ご参照ください。
- 事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合
- 事業者の損害賠償責任を免除する条項、その他の消費者の利益を不当に害する条項
事業者間の商取引は対象外ですが、事業と関係なく契約した場合は消費者に該当します。
これらの契約は消費者利益を不当に害する一定条項の全部又は一部が無効になります。
不実の告知(4条1項1号及び同条4項)契約の勧誘時に事実と異なることを告げ、消費者が告げられた内容が事実である誤認して契約した場合を言います。
断定的判断の提供(4条1項2号及び同条4項)契約勧誘時に将来変動することがある事項に断定的判断を提供し、消費者が当該判断を信じ契約した場合を言います。
不利益事実の不告知(4条2項)契約の勧誘時に重要事項又はその関連事項につき、消費者の利益になることを告げ、故意に消費者の不利益となることを告げず、消費者がそういう不利益がないと誤認して契約した場合を言います。
不退去(4条3項1号)消費者が事業者に自宅や会社から帰って欲しいと言ったのに事業者が帰らない場合を言い、直接、帰って欲しいと言う場合だけでなく、間接的な意思表示でも認められます。
退去妨害(4条3項2号)消費者が帰りたいと言ったのに、事業者が帰してくれなかった場合を言い、直接、帰りたいと言う場合だけでなく、間接的な意思表示でも認められます。取消しできることを知った時から6ヶ月、契約時から5年経過すれば、時効により取消しできなくなります。
その虚偽などの理由で取消しを主張する場合、気づいたときから6ヶ月以内ですが、不退去や退去妨害に該当すれば、その状況を脱した時から6ヶ月以内になります。
事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効(8条)
- 事業者が契約を遵守しなかった場合、消費者損害賠償責任の全部を免除
- 事業者が不法行為をした場合、消費者損害賠償責任の全部を免除
- 事業者が故意により契約を遵守しなかった場合、消費者損害賠償責任の一部を免除
- 事業者の故意より不法行為があった場合、消費者損害賠償責任の一部を免除
- 契約の目的物に隠れた欠陥がある場合、消費者損害賠償の責任の全部を免除
ただし、欠陥がないものとの交換や欠陥を補修することが定められている場合は無効とはならない。
消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効(9条)
- 消費者の解除による損害賠償額で、事業者に生じる平均的な損害賠償を超える金額
- 遅延損害金のうち年14.6%以上をこえる部分
消費者の利益を一方的に害する条項の無効(10条)
中途解約を認めない条項などで消費者利益を一方的に害するものは無効になります。
インターネットの操作ミスによる注文や契約成立時期を巡る苦情は従来の法律で救済されませんでした。そのため、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」が施行されました。 この法律の対象は電子メール、FAX、テレックス、留守番電話などを利用した契約が該当しますが、電話で対話しながら承諾を行う場合は適用対象外になります。
消費者の操作ミスによる救済事業者がパソコン画面上で申込み手続きを設定する場合、原則的に操作ミスでの契約は無効になります。事業者が消費者の申込み内容などを意思確認のために適切な措置を設けていない場合が該当します。 ところで、サイト内ページの画像や「入場する」等の文字をうっかりクリックしただけで有料登録されてしまうワンクリックやツークリック商法と言うのがあります。アクセスすると、数秒後に「あなたのアクセス情報を取得しました」として、請求画面に変転し、ユーザーのIPアドレスや都市、ID番号、ISP等のアクセス元情報を表示し、指定期日までにお金を支払うよう求めます。もし支払わない場合は自宅や勤務先に請求したり、ISPに法的手段を経て情報開示を求めるなどの口実でアクセス解析を悪用し、不安を増長して金銭を振り込ませようとするものです。もちろん、一切無視しても構わないのですが、やはり不安があると思います。 対処の方法は閲覧履歴、一時ファイル、オートコンプリート、cookie等を削除し、アクセスの痕跡を消します。次にブロードバンドの常時接続の場合、パソコンの電源を切断してもIPアドレスは変更されないので、ブロードバンドルーターを再起動し、IPアドレスを再取得します。確認するには、IPアドレスの利用場所がわかるGEOBYTESのサイトから変更後のIPアドレスを検索します。 ISP提供のIPアドレスは国外から割り当てられる場合もあり、利用場所が国外になることもあります。このように、すべてのIPアドレスと利用場所が一致するわけでなく、検索できない場合も多いのですが、犯罪捜査の場合はISPの協力を得て、特定時刻に特定IPアドレスを利用した個人情報を入手することが可能です。
契約成立時期の転換民法527条により、事業者が承諾の通知を発信したときに契約が成立します。そのため、通信障害等により申込者に通知が届かない場合でも契約が成立する可能性がありましたが、電子商取引の場合は承諾の通知が申込者に到達した時点で成立します。具体的には、メールサーバーのメールボックスに情報が記録された時点です。 一般の買い物かごシステムは注文終了後に選択した商品内容を確認ボタンで押さない限り、注文の送信ボタンを押すことができない仕組みになっています。このような買物かごシステムをレンタルする場合は特に気にする必要はありませんが、独自フォームの場合は誤送信を予防する確認ボタンの設置が必須です。 |